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手紙

| 言葉の栞 | 2012.05.26 Saturday
★むすこはこのごろどうして暮しているの。
私はゆんべからすこしメランコリになって
泣いてばかり居るのよ(中略)
死んだお母さんをおもい出すのよ。
だってむす子はどうせパリジャンだし
私は追憶ぐらいしなきゃつまんないもの。
(岡本かの子から太郎への手紙)

ー清川妙「美しい手紙」芸術生活社(1984年刊)より


引用した一節は、パリ留学中の太郎にあてて書いた手紙のひとつ。
手放しで息子に甘え、かの子の童女性横溢といったところ。
同時に芸術家同士として高めあう激烈な手紙も書き送っている。
その振り幅の大きさが彼女の大きさ。
対する息子は激越になりやすい母を鎮めるやさしい手紙を返す。


母としてさとし、娘または妹のように甘え、
おなじ芸術家として激しい心情を吐露する、母岡本かの子が
その息子太郎に宛てた非常に弾力のある千差万別な手紙たち。
その中に見えるかの子の大きさとその豊穣な愛。


清川妙さんの「美しい手紙」は、古今東西の手紙をあつめたアンソロジー。
「手紙のギャラリー」とも言える本です。
| author : | 13:08 | comments(0) | -

真珠

| 言葉の栞 | 2012.01.23 Monday
★真珠は空からの露によって懐胎するので、
 海よりも空の状態に影響されるからだ。
ープリニウス「博物誌」
 
ー澁澤龍彦「真珠と珊瑚」
「私のプリニウス」河出書房新社
(1996年刊)より


古代ローマの博物学者プリニウスによる自然誌事典「博物誌」は古今東西の文献や当時の思想を総動員して編まれた一大奇書であった。この大著に魅せられ渉猟する澁澤龍彦は、プリニウス独特の奇想天外な想像力を楽しみつつ、怪物や迷宮や畸形など幻想と想像の異世界へと読者を誘う。


ご存じのように真珠は母貝の中に素となる核を入れ、これに真珠層が何層にも巻きつき生まれます。プリニウスの手にかかると、森羅万象に及ぶその独特な想像力によって、”真珠は空からの露を海底で貝が受けて受胎した”物と化すのです。そんな「博物誌」を、プリニウスとたわむれ、夢想するように澁澤龍彦が紹介しています。手持ちの真珠を見て、「空の露」の一節をふと思い出すとなんだか愉快な気持ちになります。
 

「私のプリニウス」は、当店の文庫本欄で販売中です。

| author : | 20:45 | comments(0) | -

唐草

| 言葉の栞 | 2011.08.14 Sunday
★あらゆる模様のうちでアラベスクはもっとも観念的なものだ。
ーボードレール あとがきより
 
ー澁澤龍彦「唐草物語」河出書房新社
(1993年刊)より


著者自身のエッセイから、しだいに白昼夢のように自由に思いを巡らせ、それは次第に物語のようなものにすり替わって行く。平安京の宮廷や、古代ローマと、時代や国を飛び越える。解決のないまま物語は終わる。歴史上の実在の人物、故事にヒントをえて、どこへ伸びて行くのかわからない唐草模様の夢ような12の短編。


2枚目の写真は、山名文夫デザインの資生堂ドルックスお白粉入れ。唐草と女性美を融合した、優美で普遍的なデザイン。日本の近代的な広告デザインの先駆者で「資生堂スタイル」を作った山名氏もまた、生涯唐草模様を追求し続け、魅了されたひとりです。

「唐草物語」は、当店の文芸本欄で販売中です。

| author : | 20:44 | comments(0) | -

スープ

| 言葉の栞 | 2011.04.02 Saturday
★病人でも、悲しみに
沈んでいる人でも、
スープならなんとか食べられる。
スープとはありがたい
食べ物である。
 
ー石井好子 
かなしいときにもおいしいスープ
「パリ仕込みお料理ノート」
文春文庫(1983年刊)より


石井好子さん。(1922.8.4. - 2010.7.17.)1952年に渡仏し、パリでシャンソン歌手としてデビュー。食通でも知られ、洒脱なパリの食卓の光景と空気が感じられるお料理にまつわる多数のエッセイは、いずれもロングセラーになっています。


パリ時代、石井さんの伴奏をしていたピアニストの男性が病気で亡くなった時、心細さと悲しみにただ泣き続けるイギリス人の奥さんに石井さんはポテトスープを作ってあげる。また、異国で病気になったオペラ歌手の砂原美智子さんにも毎日スープを作りに通ったそう。スープは身体も心も温める。ほかの食べ物と違う、不思議なものを持っている。

「パリ仕込みお料理ノート」と
「洋風料理入門」(2枚目のポテトスープの写真)は、
当店の文庫本欄はご紹介しています。



| author : | 20:39 | comments(0) | -

檸檬

| 言葉の栞 | 2011.01.23 Sunday
★一体私はあの檸檬が好きだ。
 レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、
 それからあの丈の詰まった紡錘形の格好も。
 
 ー梶井基次郎全集 全一巻 「檸檬」筑摩書房(1986年刊)より


実家に届いたレモンをわけてもらいました。ちょっとした贅沢な気分です。お菓子に入れようかとか、フライにかけようかとか、いろいろ使い道を考えていますが、そのへんにころがっている風情がよくて、まだきめかねています。


使ってしまう前に、梶井基次郎のように、ちょっと本の上に乗せてみたり。まだ青さの残るレモンは、見た目にもフレッシュで、清冽な感じがします。さんざん眺めた後で、ジャムにして、無駄なく皮まで食べてしまおうと思っています。


| author : | 18:28 | comments(0) | -
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